ホンダ、洪水のタイ工場を全面刷新 負担500億円超
4月の生産再開目指す

 タイの大規模洪水で被災したホンダは工場復旧のため全面的な設備の更新が必要となることが14日、分かった。設備投資は500億円を超す可能性がある。自動車生産設備のほとんどの部分が水につかり、再使用できないことが判明した。4月の生産再開を目指し、機器の入れ替え作業に着手した。タイの洪水からの復旧に投じる資金規模としては、日本企業で最大級になりそうだ。

 ホンダは日本の自動車大手で唯一、洪水の直接被害を受けた。中部アユタヤ県のロジャナ工業団地にあるタイ工場は2011年10月から操業を止めており、ピーク時で高さ3メートル程度まで水につかった。復旧作業は「工場を一からつくるのにほぼ匹敵する」(幹部)大がかりなものとなる。

 現在、損害保険会社が被害の査定を進めており、ホンダは12年3月期中にも保険金を受け取る。その分だけ設備の入れ替えで使う手元資金は少なくなる。

 新設備の導入は会計上の費用ではなく、設備投資として扱う見通し。13年3月期以降の減価償却費を年数十億円押し上げる要因となりそうだ。今期は浸水して使えなくなった設備の廃棄損(100億円規模)や在庫の自動車(約1000台)の処分損を計上する方針。

 タイ工場は東南アジアの中核生産拠点で、年産能力は24万台。セダン「シビック」などの完成車を生産するほか周辺国の工場に部品を供給する。

nikkei.com(2012-01-15)