終の棲家を建てました

 私は来年はとうとう後期高齢者になります。そろそろ終活をしなければと終の棲家を建てました。建てるまでのいきさつを書きます。

 カナダのトロントの北100キロのところにある、アリストンという小さな田舎町に仕事で滞在したときに、町のはずれに墓地がありました。広い芝生の敷地に思い思いの洒落たデザインのお墓が不規則に建ち並び、お墓というより公園のようで大変印象に残りました。


アリストンの墓地

 お墓を建てるのならこのようなお洒落なお墓にしたいと思い、退職後海外旅行をしている道中で墓地を見かけたら立ち寄って、お墓の写真を撮って蓄えていました。


カナダ ローレンシャン高原の墓地


ノールウェイ ヴォス駅付近の教会敷地内の墓地

 私は海が大好きで、お墓は海が見えるところに建てたいと思っていたところ、退職してまもなく希望どおりの海が見渡せる墓地が見つかり、土地を先に購入し昨年お墓を建てました。


丘の左上に見えるのが霊園


お墓から玄界灘の海が見えます

 蓄えていた数ある海外のお墓の写真の中から、北欧の旅の思い出として、ノルウェーのロム・スターブ寺院の敷地に建っていたお墓を参考にデザインすることにしました。


ロム・スターブ寺院の敷地内の墓地

 海外のお墓は芝生の上に外柵なしで直接石碑が建っていて、シンプルですっきりしています。私も、芝生の上に石碑を直接建てたかったのですが、霊園の規約で芝生は禁じられているので、芝生に見立てた低い平坦な外柵の上に、石碑とその左右に花立てを設置し、その他の付属品は一切ない、芝生の上に石碑が直接建ったシンプルでお洒落なお墓のイメージにしました。

 全て自分でデザインしましたが、石材に関しては石材店に見本を見せていただき、また、霊園を案内してもらって決めました。最初は中国の石にする予定でしたが、女房が国産品にしたいと言うことで、暖かみがある岡山県産の万成石にしました。薄ピンク色で銀座の和光ビルや石原裕次郎のお墓に使われています。


お墓を斜めから撮った写真


石碑と花立て

 上面を平坦にするために、拝石は石碑の背部に外柵の上面と面一に配置し、後方に引き出せるように工夫しました。


後方に配置した拝石

 お墓は終の棲家ですが、私達夫婦がこの世に存在した証としてのモニュメントとして考えています。それで、碑文をREST IN PEACEにして、上方に北極星を、下方にバイキング船を配置しました。また、外柵の上面に波の絵柄を彫刻して、北極星を目印に長い人生の航海を終えて、ここに安らかに眠ると言うストーリーにしました。
 私達夫婦の他に2人の名前が刻んでありますが、私達夫婦の名前だけではバランスが悪いので、1人娘の夫婦の名前を入れました。


石碑


滑り止めの波形彫刻

 日本のお墓とかなり違った外観ですので、私達のイメージのお墓を作って下さる石材店が見つかるかどうか案じていましたが、協力して下さる石材店が見つかり、度重なるデザイン変更にも快く対応して頂き、お陰様で満足できるお墓を建てることができました。

 満足できるお墓ができたので、全優石主催のお墓デザインコンテストに応募したところ、特別賞を受賞しました。
 「第20回デザインコンテスト受賞作品」(ここをクリック

 また、外柵(お墓の土台)の部分意匠を出願したところ登録になりました。
 【意匠登録1505123号】
 追加工事で登録番号を墓碑の裏面に下記の文字を彫刻する予定です。
 Design Registration 1505123

山永 順一(2014-09-24)