棚田で古代米づくり

 私が古代米と初めて出会ったのは8年前。友人から一握りの古代米(黒米)を頂き教わった通りに白米と一緒に混ぜて炊いた所、白米がまるで赤飯の如き桃色に染まっていたので驚嘆したものです。
 色々と調べて見ると、古代米は中国の漢の時代に発見され、宮廷献上米として歴代の皇帝が食べていた貴重なお米で、黒米は栄養面でも大変優れ、滋養強壮に虚弱体質の改善に効果が有り、玄米の糠の黒い部分はアントシアニンを含み、動脈硬化の予防、ガンを抑制する抗酸化作用が有ると云われています。

 そんな折り2001年の春、秩父横瀬町が、都市と農村の交流事業として「古代米作りの仲間」を募集している事を知り、仲間に入りました。
 武甲山の麓横瀬町には耕作者の高齢化、後継者不足などで休耕棚田が320枚、面積は5.2ha(16000坪)と埼玉県内最大の棚田がある地域です。この休耕棚田を多くの方の力で、再生し観光の一つの目玉にするのが交流事業のネライらしい。交流事業は寺坂棚田学校という名称に変わり、2001年度は70名の参加者が集りました。女性が3割、米作りは殆んどの人が素人、私も全くの素人。先生は一からの指導だから大変だ。色々な農業機械も使うし、遊び気分での参加者もいるし。秋に自分達が作った古代米の配布を楽しみ参加している様子がありあり。そんな寺坂棚田学校も今年で7年目となる。

 寺坂棚田学校には一般参加とオーナー制が有り、私は2005年からオーナーになりました。と同時に4人の古き友人、浅井明道さん、荒木和男さん、栗原豊重さん、早川章平さんが加わって頂き、私と一緒に7a(700u)の田んぼで古代米(黒米)を作っています。

 米作り歳時記を簡単に書てみました。
 3月に入ると、10年間放置の休耕田は、葦が生い茂っていた所の開墾作業から始まる。数日間掛かる耕転作業と畔作りが中々捗らない田んぼ作りです。
 5月中旬、代掻きを終え水を張った田んぼに20p程に成長した稲の田植えです。横一列に並び一条づつ手植えなので、腰が痛くなる作業は大変疲れる。肥料は有機、無農薬栽培です。
 7月末、稲に出穂が始まり、これが受粉してお米になる。夏場の草取りは成長が早く追いかけっこだ。
 9月中旬、稲も黄金色に染まり米が実って頭を垂れはじめ、待ちに待った稲刈りです。刈り取った稲は近頃の田園風景ではあまり見なくなった、はざ掛け天日干し。
 10月初旬に、脱穀、モミ摺りを行って計量、収穫の喜びを共に分かち合い泥んこ汚れと大粒の汗をかいた米作りが終了します。

  • 2005年は、古代米(黒米)を250kg収穫しました。
  • 2006年は、古代米(黒米)を170kg収穫+白米(ミルキークイン)を100kg収穫しました。
  • 2007年は、耕作面積を2倍に拡張するので、相当量の収穫が期待出来そうです。
 我が家のお米は年間を通じて、私の作ったもので賄い購入はしていません。

 <<古代米づくり、4つの喜び>>

  • 気持ち青春の汗をかき、労働する喜び
  • 愛情を注ぎ込み育て、収穫する喜び
  • 安全、安心なものを、食する喜び
  • おすそ分けし、喜んでいただいた喜び

 武甲山を望み、山からミネラルを豊富に含んだ湧水が棚田に注ぎ込み、夏にはホタルが乱舞する自然豊かな寺坂棚田で、古代米作り7年目に励んで行きます。最後に、古代米づくりについて関心のある方は遠慮なく、私にお尋ねして下さい。

記:島根 政雄(2007-07-21)