70歳の青春
<定年後の夢>
夢多きホンダを卒業し、さてどんな生き方をしようか? 平々凡々、悠々自適に過ごす、これも一つの生き方ではあるが何もしないとも取れる。何かもったいない老後ではないでしょうか?
少し難しい、結構大変、しかし達成したら少しは胸を張っても皆さんが一目置いて
くれる、そんな夢、目標をあれこれ考えた末に家族へ打ち明けた。何んせこの計画を
実行するにはかなりの軍資金が必要、従って、家族の合意・協力を得る必要があった。家族からも快く協力する旨の返事を貰い夢の計画はスタートした。
夢の目標
1・・・・・スキー1級
5・・・・・囲碁 5段
9・・・・・ゴルフシングル
100・・・日本100名山
100・・・100kmマラソン
我ながら凄い目標を立てたな。立てるだけなら誰でも出来る。しかし、夢の目標への到達は容易では無さそうだ。定年退職の激励会に集まって戴いた120名程の皆さんの前で私はこの夢の目標に挑戦しますと宣言しました。この遠大な計画、途中でどんな事が起きるか分らない。逃げ場を塞いでしまった方がズルケナイで良いのではと考えた。
100kmマラソン・・・1997年達成
これは体力勝負、早い内に挑戦だ。何しろフルマラソンしか走っていない、フルを2回半一気に走る。おまけに秋田の高低差450mの峠越えもあり大変なレース。
朝5時、角館で星空を眺め、大太鼓の合図と共にスタート。
北上鷹巣町がゴール。ゴールが近付くと「ゼッケン417番、埼玉
県の森山選手が間なくゴール致します」と放送される。ゴールと同時に
大太鼓がドドドンと響き完走を祝ってくれました。
根性!根性!!根性!!!
(ゼッケンを貰った時完走を確信?417・・良いな)
100名山・・・2002年達成
北海道9山、九州6山、四国2山、総て飛行機。更に、利尻。屋久島の
離島はフエリーに乗って。99番目は妻に感謝して高妻山。100番目は
仏の御加護に感謝して至仏山。森山兄弟夫婦8名で完登記念登山。
<スキー1級への道>
スキーも定年後から取り組み始める。WSA(ワールド・スキー・アカデミー)はEGのスキー同好会メンバーが母体となり、オールホンダから同好の士が集まっている。WSAの他、東京野歩路会(NBR)と言う山の会のスキーツアーにも時々参加していました。
戸隠、志賀一の瀬、熊の湯が中心。最初は結構厳しい斜面もあり怖い思いもして滑っていました。スピードが出過ぎると、後はチョッカリで行くしかなく、中高年暴走族と呼ばれた時期も有りました。その頃身に付いたスピード対応能力が後々生きたかも知れません。
2級合格は2002年妙高のNBRスキースクールの検定で合格しました。
今にして思うと結構勢いは有ったが荒さも多かった様な気がします。
その後海外志向となり、カナダのウイスラー(ヘリスキー)、スイスのグリンデル
ワルド、ツエルマット、フランスのシャモニー、2回目のウイスラーとまさに
世界を股に懸け、スキーを十二分に堪能する事が出来ました。
一方スキー技術の向上と言う観点から見ると、いささか場当たり的な能力には長けて
来たが、基本技術に裏打ちされた滑りとはかけ離れた我流の滑りを続けていた気が
しました。
そこで昨シーズンから積極的にスクールに入り、色々指導を受け、思考錯誤しながら
も少しずつ向上しているかな?。スクールによっても指導員によっても教え方は違い
ますが、自分に納得出来た物だけ取り入れればと割り切って考えました。
新しい技術を覚える事より古い(悪い)クセを完全に身体から排除する事の方が
遥かに大変でした。
<検定前夜>
1級検定は2年前に尾瀬戸倉、1年前に川場スキー場で受験。いずれも遥か及ばず不合格。
今年はNBRのスクールが2月10日から12日に尾瀬の岩鞍スキー場で開かれましたので
参加。2日半の講習は無料の上、技術的にも有意義でした。
前夜参加者を集めてのミーテイングが行われ、各自の受験に臨む心境や抱負を
発表させられました。「私は古希を迎え70歳で1級を受験。もし私が合格する様な事が有れば、NBRの最年長合格の記録になる。もし落ちれば、更に記録が伸びて行く事に
なります。」と挨拶致しました。
最後に主任検定員から「森山さんは明日合格する事は有りません。NBRの最年長ギネスの記録を打ち立てる為落ちて戴きます。」
多少のアルコールも入っているとは言え、これには参ったな、心臓が停まりそう!!
<落ち着け本番>
いよいよ検定本番。一本でも余計に滑っておきたい心理から一番バスに乗って
ゲレンデへ。指導員からは色々心配項目は有るでしょうが大事な事一つに集中
しなさい。「森山さんは前傾し過ぎ、背中が丸くなってしまうきらいがあるので足元は
見ないで検定員をめがけて飛び込んで来なさい。」とアドバイスを貰う。
検定は中廻り、小廻り、大廻り、総合滑降、コブの順序。落ち着いて中廻りから入
れる、緊張のせいか早くもバランスを崩す人も出る。苦手の小廻り、細心の注意を払って最後まで滑り切る、一山越えたかな?。大廻りはスピード目一杯出し気持ち良くゴール。総合滑降もまずまずの出来栄え。いよいよ難関のコブ。講習でも1度しか滑る時間がなく不安だ。コースは志賀の高天ヶ原位の難易度。7名中2名転倒、2名コースアウト、皆苦戦していた。私も最難関のポイントでバランスが崩れそうになりかかったが何とか踏みとどまりゴール。八方でのコブ練の成果が出たのかな?。
検定バーンの雪の状態も良く天気は快晴、持てる力を出し切る事が出来ました。
成績発表で「1級合格森山さん」と呼ばれた時は一瞬我が耳を疑い次の瞬間ヤッタ
ーと苦節10年に及ぶ1級への挑戦劇が思い出され目頭が熱くなるのを感じました。
この記念すべき日が 平成19年2月12日
<スキーも楽し>
私の70歳1級合格の報に触発され、続々と挑戦される事を期待します。目標が定まれ
ば慌しくも楽しいシーズンが始まりやがて実りある秋を迎えるでしょう。スキーはあの広い白銀の斜面をより早く、より華麗に、より安全に、より楽しくを何処までも追い求めて行くものではないでしょうか?。たまたま1級合格と言う晴れがましいご褒美を戴くことが出来ましたが、技術的にはまだまだ未熟、新雪やコブなど皆さんと楽しく挑戦したいですね。
この10年間WSA、NBRのスキー仲間の皆様からは心温まる激励や技術的なアド
バイスなど数多く戴き有難う御座いました。合格の報に対しても数多くの祝電を戴き感謝しております。70歳と言えば何となく年寄りと言ったイメージが先に立ちますが、皆さんの元気を戴きながらお陰様で怪我も無く大きな夢を手にする事が出来ました。
「青春とは肉体年令を言うのではなく気の持ち様を言う」
「目標を失った時から老いが始まる」
まだこれからもゴルフのシングルと囲碁5段と言う残り2つの夢への挑戦を続けて
行きたいと思っています。色々有難う御座いました。
記:森山 精也(2007-02-吉日)
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