我が家のパソコン史

 PC(パソコン)に関してはPC用語が多く、古くからPCに親しんだ方はMS-DOS(*1)など、懐かしく響き、WindowsXPを初めて購入した方には、聞き慣れないことと思います。しかし、我が国でMS-DOSのOS(Operating System:操作体系)を用いたPC生産も、20年を越える歴史を積み重ねて今日が有ります。歴史を知ることは、何かの参考に成ると思い、標記の件を記述することにしました。

 我が家のPCは1988年末、NEC PC-9801互換機のEPSON製(*2)中古を購入したのが最初でした。CPUは、NEC製:V30(インテル80286同等)、クロック周波数:10MHz、メモリ:640KB。当時OSは別売で、マイクロソフト社が無料提供するMS-DOS Ver.2.11を用いた。ワープロソフトは、一太郎3(*3)を3.5インチ2ドライブFDD(フロッピー・ディスク・ドライブ)に、それぞれシステム+アプリケーションソフトと仮名漢字変換辞書の入った1.25MBのFD(フロッピー・ディスク)2枚を入れて使用した。当然HDD(ハード・ディスク・ドライブ)は未装着だ。
 その後、一太郎の辞書ATOK7が改良され、辞書が記憶可能な2MBメモリをPCの拡張機能ポートに取り付け、辞書のみをインストールして使った。
 3年ほどして外付け、60MBのHDDを中古で購入し、辞書とアプリケーションソフトを入れた。当時一太郎もVer.4.3と成って、多くの人たちが日本語ワープロソフトとして採用した。

 その後、1993年にWindows3.1が登場(Windows1.0は1985年〜1991年の3.0が有ったが、あまり注目されなかった)。このOSは、基本のファイルシステムの管理など、MS-DOS(Ver.3.3C)とDOSアプリケーションソフトをインストールして使いつつも、Win3.1はDOSシステムから離れ、複数のアプリケーションソフトを同時に開き使えた。また、マウスを導入する人が増える等も特徴でしたが、アプリケーションソフトは、MS-DOSが主流でWindowsを起動しても少数のソフトが使える状態でした。一方、この頃からインターネット接続や社内LANシステムが構築され、コンピュータ・ウイルスが話題と成ってきた。
 我が家のPCは、この1年後にWindows3.1搭載のNEC PC-9821を購入。CPU:Pentium75(クロック周波数:75MHz)、メモリー:8MB、HDD:420MBだった。その後このPCは、HDD内蔵を2台:6GBに増設、メモリ:96MBに増設、CPUアクセラレータによるCPUの交換(クロック周波数:350MHz)増速を図り、OSもバージョンアップを重ねてWindows98SEまで使った。

 1995年11月23日に大々的に宣伝されたWindows95が発売され、そのアップグレード版を購入してインストールした。Win95の特徴は、Win3.1ではDOSを使用していたが、Win95ではWindowsNT(*4)と同様にシステムの32ビット化したOSであり、もはやDOSは必要なくなった。しかし、MS-DOS(Ver.6.2など)を共存させることでDOS用のアプリケーションソフトを使うことが出来た。まだWindowsとMS-DOSの共存時代だった。
 このWin95を起動すると画面は一変し、常時表示されるタスクバーを設け、そこに「スタート」ボタンを配置する新方式が採用された。他にもファイルのドラッグ&ドロップ(ファイル、画像などのアイコン上でマウスボタンを押し、ボタンを押したままで任意の場所まで移動し、マウスボタンを離すこと)の積極的な活用など、多数の改良が施された。これらは、現在も継承される使い勝手の良い先駆けだった。

 1998年7月にWin95の後継として、Windows98を発売したのが、機能的にはWin95と目立った違いはなく、Webブラウザ(Intemet Explorer4.0)をOSと統合し、ハードディスクのファイルを見るのと同じ方法でWebを閲覧できる様に成ったのが特徴。これらが後に、米国各州、ソフトメーカーを巻き込み、マイクロソフト社間の“抱き合わせ販売訴訟”に発展したことは記憶に新しい。

 1年後の1999年7月にWindows98SE(Second Edition)が発売された。これは、Win98のバグ修正、Intemet Explorer5.0にUp、USBやDVDなどの機能を追加したアップグレード版としての位置づけだ。

 その後、WindowsMe(Millenium Edition)が2000年9月に98系の最後のOSとして発売。特徴は、ゲームのプラットフォームとしての利用や、マルチメディア系ツールの充実がバージョンアップのポイントとなっている。ビデオムービーの作成・編集機能やシステムの復元機能、重要なシステムファイルの保護など機能が追加されたWindows98である。

 一方、98系から離れたシステムと位置づけられたWindowsNT系も改良が加えられ、2000年2月にWindows2000(NT5.0)がWindowsMeの9月より少し前に発売された。
 1年後NT系OS、Win2000の後継として2001年11月にWindowsXP(NT5.1)が発売され、多くの人たちが現在愛用している。
 次世代Windowsは、64ビットシステムとして「Longhorn」(開発コード名)で、2005年末頃お目見え?とのアナウンスが有る。どの様に変貌したOSとして登場するかが楽しみだ。

 我が家の3代目PCは、2000年に入りWin2000の発売に伴い、LANとTVボード内蔵のSONY_VAIOを購入。CPU:PentiumV866(クロック周波数:866MHz)、メモリー:128MB(512MBにUp)、HDD:40GBだ。
 PC購入と同時に、CATV(ケーブルテレビ)インターネットにも加入した。数年前からTV受信には加入していたが、この時期インターネットサービスの開始に合わせて加入した。当時、下り速度:128kbps、現在:8Mbpsです。
 次の4代目PCは、次世代64ビットOSの発売を待つことにしている!?

 余談ですが、今も古いOSを記念に?保管しています。
 MS-DOS関連Ver. : 2.11、3.3、5.0、6.2(いずれもFD)。
 Windows関連Ver. : 3.1(FD15枚)、95(以降CD-ROM)、98、98SE。

(*1) MS-DOS(エムエス・ドス)
 マイクロソフト社のOSでMicrosoft Disk Operating Systemの略。単にDOSとも呼ぶ。もともとIBMの16ビット(*)PC用に開発されたOS。従来のMS-DOSの機能はWindows95の32ビット化(16ビット互換)で表面的には吸収された。しかし、現在でも基本部分は、MS-DOSの機能が生きている。
 例えば先日の実例で、知人のIBM ThinkPadノートPC(Win98SE)のディスプレイ・ドライバーをダウンロードした。このEXE自己解凍ファイルをDOS画面で解凍する指示だった。
 DOS画面を開く時は、OS毎に以下の順でクリックする。
・ Win95/98/NT : [スタート]→[プログラム]→[MS-DOSプロンプト]。
・ WinMe : [スタート]→[プログラム]→[アクセサリ]→[MS-DOSプロンプト]。
・ Win2000 : [スタート]→[プログラム]→[アクセサリ]→[コマンドプロンプト]。
 また、DOS画面から日付や時間が修正できる。
 方法はDOS画面で、CD ¥ と入力(¥は半角空ける)[Enter]。C:¥>Time(日付変更はDate)と入力し[Enter]。変更する時間を入力し[Enter]。C:¥>Exit と入力し[Enter]で時刻合わせが完了(上画像参照)。
* : ビットとは、Binary Disitを短縮して作られた語。2進数1桁分の情報量。コンピュータで扱うデータの最小単位。8bitで1byte。1MBは、1,000,000B(バイト)。

(*2)NEC PC-9801互換EPSON製PC
 当時国内で圧倒的なPCのシェアを持っていた、NEC社PC-9801との互換にすることで、キーボードなどのハード面、操作性とアプリケーションソフトをそのまま使えることを狙った互換PC。
 EPSON社の初代PCは、1987年4月に価格357,000円で発売(ディスプレー別売)。NEC社の同等機種より76,000円安く世間から注目を集めた。HDDは、内蔵型20MBがオプションで準備されていた。

 NEC PC-9801シリーズは、EPSON製PCより5年早い1982年に発売され、MS-DOSをサポートした。10年後、1992年に改良モデルのPC-9821シリーズがスタートし、本格的にWindows対応機とした。  その後、現在のDOS/V機と同等の基本仕様に変更したPCを1997年、PC98-NXとして発表。このPC98-NXは、PC-98シリーズとは全くの別物で、15年間続けたPC-98シリーズの幕を閉じた。
 当然EPSON社は、NEC社より先にDOS/V陣営に加わった。

  一方、IBM社のPCについてふれると、NEC社より1年早い1981年8月に米IBMが発表した。これが現在のPC互換機の原型となっている。IBM PCは、当時急成長していた小型コンピュータ分野に進出するため、CPUにインテル社製16ピットCPU:8088を搭載、メモリ:16KB、EDD:5インチ1ドライブをオプションで搭載可能にした。
 その後1990年、日本IBMによって開発された、DOS/Vが登場するまでの日本語DOSシステムでは、漢字イメージのデータをROMなどのハードウェアとして搭載するのが一般的だった。これに対しDOS/Vは、ソフトウェアだけで日本語の取り扱いを可能にしたため、米国などで一般的なPC互換機(IBM PC/AT互換機)でも、日本語が扱えるように成った。
 そこでIBMは、広くDOS/Vを定着させるため、内部インターフェイスを始め、すべての技術情報を公開した。これによってサードパーティがこの技術情報を元に、IBM PCと同等のシステムを用いたPCを作り始め、これがPC互換機の始まりである。スケールメリットを活かした高性能、低価格のPC互換機で日本語環境を構築したため、DOS/Vは、その後広く普及し現在に至っている。
 これは、VHS×ベータ戦争と同様、DOS/V×PC98戦争と言える。

(*3)一太郎とATOK(エートック)仮名漢字変換辞書
 四国徳島市に所在する(株)ジャストシステム社が、NEC PC9801に搭載可能な日本語ワープロソフトとして開発に着手、1985年“太郎”が発売された。1987年6月太郎を改良して“一太郎 Ver.3”が誕生。当時このソフトは、DOS環境で動作するため、PC98やIBMのPCにも搭載され活躍した。その後バージョンを重ね、変換効率が良く・使いやすさも支持され、2003年2月に一太郎13、ATOK16に進化している。

(*4) WindowsNT
 Windows3.1が発売された翌年の1994年NT3.1が発売された。続いて改良が加えられ、1996年NT4.0も発売。2000年2月のNT5.0は、Windows2000と改名し発売。更に翌年2001年11月NT5.1は、WindowsXPと命名された。
 NTは、従来のMS-DOSやWindowsの環境を踏襲しながら、当初はビジネス用、サーバー用としてプリエンプティブマルチタスク(*)を実装し、高い処理速度と信頼性を特徴に、Windows3.1/95/98/Me系とは別に、新しくマイクロソフト社が開発した32ピットOS。次世代のOSは、64ピットに成るもよう。
* : プリエンプティブマルチタスクとは、複数のタスク(処理する仕事の単位)を並行して実行するマルチタスクの方式のひとつ。システムがCPU時間を割り振って複数の処理を常に同時進行させるもの。

記:山下 岩男(2003-12-17)