年齢の異称とそのいわれ

 年齢の数え方は今では「満年齢」で数える。つまり毎年、誕生日が来ると1歳ずつ歳をとっていく。 しかし、これは昭和25年に施行された「年齢のとなえ方に関する法律」で定められたもので、それまでは「数え」で年齢を数えた。
数え年とは、生まれた時に1歳になり、その後は正月を迎えると1歳ずつ歳を取っていく。

 一方、年齢の異称は古くからある言われ方なので、本来、数え年で言われたものだろうが、現代では満年齢で数えるのが一般的であるから、どちらでもいいのではないかと思う。
 まずは長寿の祝いに関する年齢の異称を列記してみよう。

還暦(満年齢では60歳、数え年では61歳):後述
古稀(70歳):中国の詩聖「杜甫」の「人生七十古来稀なり」という言葉から。
喜寿(77歳):喜の略字が七、十、七に分解できることから。
傘寿(80歳):傘の略字が八と十に分解できることから。
半寿(81歳):半という字が八、十、一に分解できることから。
米寿(88歳):米という字が八、十、八に分解できることから。
卒寿(90歳):卒の略字「卆」が九と十に分解できることから。
白寿(99歳):百の字から一をとると白という字になることから。
上寿(100歳):60歳の下寿、80歳の中寿に対するもの。
茶寿(108歳):茶の字の草かんむりが十が二つ、そして八十八と分解され、合計が百八となることから。
皇寿(111歳):皇という字は白と王に分解でき、白が九十九、王が十二に分解できるので合計が百十一となることから。

 杜甫(712〜770)の時代では70歳まで生きることは稀だったのだろうが、今では日本の平均寿命は女性が約83歳、男性が約78歳に達している。古稀、喜寿のお祝いできる方は多いが、その先は今でも大変なことだ。

 さて、これらの年祝いの中でも全国的にもっとも浸透していたのが「還暦」、赤い頭巾やチャンチャンコが贈られ、お祝いをするのが一般的だった。 還暦とは干支は十干と十二支の組み合わせで全部で60通りあり、自分の生まれた年と同じ干支が還ってくるのがちょうど60年後になることからきている。 最近では(自分自身のことを考えても)むしろ定年退職や退官などの行事に変わっているのではないだろうか。
子曰はく、
「吾十有五にして学に志す。三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳順ふ。 七十にして心の欲する所に従えども矩を踰えず。」 孔子の言行をまとめた論語の中にある有名な一文で、孔子が晩年、自分の生涯を述べたものである。 因みに、「みみしたがう」「のりをこえず」と読む。 これより、年齢の異称が生まれている。

志学(しがく、15歳):学問を志す
而立(じりつ、30歳):ひとり立ちできるようになった
不惑(ふわく、40歳):周囲の言葉に迷わなくなった
知命(ちめい、50歳):自分の天命を知る
耳順(じじゅん、60歳):周囲の意見を素直に聞けるようになった
従心(じゅうしん、70歳):心の赴くままに行動しても決まりから外れることはなくなった

 その他、厄年(やくどし)というのも年齢の異称だろう。こればかりは厄払いをする関係もあるのか、数え年で行うのが一般的だろう。女性は19歳と33歳、男性は25歳と42歳になっている。 特にあとの年齢の方が重要だとされ、大厄と呼ばれている。一般的に、男性が「厄年です」と言ったら42歳のことである。

☆。.:*:・'゜★゜'・:*:.。.:*:・'゜☆。.:*:・'゜★・:*:

 先月、会員の宮下正男さんが「古稀」を迎えられました。仲間内でささやかなお祝いをし、これを機に「古稀」について調べてみました。さらに、雑誌「絆」が送られてくるたびに紹介される、元気な先輩諸兄を思い浮かべながら、「年齢の異称とそのいわれ」としてまとめてみました。
 『雑学のすすめ』を参考にしました。

記:木田橋 義之(2003-09-20)