ランニング考

 ランニングを始めて25年の節目の年を迎えた。これまで履いたシューズの数は40足を越える。走った距離は延べ55,000kmになる。ランニングとはどんなものか。どんな世界があるのか、いくつかを紹介してみたい。

 心のリフレッシュ
 「なぜ走るの?」という問いに対し、一番重要と考えているのは"心のリフレッシュ"効果である。走り始めたきっかけはEGのブロック対抗戦の駅伝出場である。出場が決まり、ブレーキになっては申し訳ないと1ケ月前から1日1kmほど走ることから始めた。39歳の時である。この頃自分にとって氷河期といえる時期で、心の閉塞感を走ることがリフレッシュしてくれた。40代は山あり谷ありのストレスの溜まり易い時期であった。ランニングのお陰で無事乗越えることが出来た。走ったあと、体の血液が全部入れ替わったようなすがすがしい気分になる。新たな爽やかな気分で1日がスタート出来た。

 アイデアの泉
 「なぜ走るの?」。二番目に重要と考えているのは、アイデアが湧いてくるからである。一般的には"ランニング・ハイ"現象といっている。難しい課題について考えながら走る。そうすると、不思議にアイデアが湧いてくる。ランニングを始めた40代は企画や戦略の業務の連続であった。何とかこれらをこなしてこれたのはランニングのお陰である。定年後は趣味の世界で大変役立っている。Egobnetに掲載する情報もストーリーの骨格は走りながら考えている。

 カラオケ
 小学校の時、一番苦手な授業は音楽の独唱のテストであった。「アー」と続けて高い声が出ない。従って、テストの時、終わりまで歌えたことが一度もなかった。嬉しかったのは、ランニングを始めて高い声が出るようになったことである。カラオケでチャント歌えるようになった。嬉しさの余り、声を出しすぎてしまうことが多い。このことはご容赦願いたい。

 タイムトライ
 ゴルフのシングル、囲碁などの有段者のレベルがランニングでは10kmを40分以内で走ることと考えていた。森山さんがそのレベルを越えている。タイムトライを何年か続けたが41分台がやっとだった。これ以上のタイムを狙うと体を壊す恐れがあるので挑戦をやめた。ランニングを続けることは地面からの衝撃による筋肉や筋の傷害との戦いでもある。これらの傷害とうまく付き合っていくことが必要になる。マラソン大会に出て、参加者との交流や大会の雰囲気を楽しむ方が多くおられる。大変結構なことである。私の場合は、タイムを気にするクセがあり、本気で走って体を壊すのが目に見えているので、大会には参加しないことにしている。

 不整脈
 ランニングを始めて7年後、月350km位走っていた頃、健康診断で不整脈を指摘された。再検査をおこなった結果、ヘルスメーターを付け、薬を飲んで、1ケ月間様子を見ましょうと医者がいう。自分の体には自信があったので、これはランニングによる症状で異常ではない、ヘルスメーターや薬は必要ないと医者に反論した。今は故人になられた総務課長が心配してくれた。異常がないことを証明するため大宮の日赤病院へ行き脈拍の検査を受けた。病気のレッテルを貼られたらランニングを止めなければならない。日赤病院での検査前の数日間はランニング量を押えた。検査結果は”異常ナシ”であった。もう医者とケンカをするのは嫌である。以後、ランニング量を1日10kmから5kmに減らした。
 ランニング体験者に聞くと不整脈のためドクターストップがかかりランニングを止めた方が多い。確か、本田宗一郎さんもそうであったと何かの記事を読んだことがある。

 ヘルスサロン
 ヘルスサロン1984年(昭和59年)2月号に"ジョギング通勤"が紹介された。当時、川越の新宿町に住み、雨の日も雪の日も当直の日も通勤ランニングを行っていた。記事が掲載された3年後になっても製作所に行った時、「まだ走っていますか」と声をかけられた。確か、熊本・鈴鹿・浜松の各製作所で声をかけられた。見ず知らずの方からこのように声をかけられると嬉しいものである。

 ニラメッコ
 早朝5時頃ランニングをしていて恐いことは?
 1度目はカナダのニューマーケットという小さな町の閑静な住宅街を早朝ランニングをしていた時、日本では見たことのないような大きな犬が吠え付いてきた。身をかがめて犬を睨みつけ徐々に犬との距離を離していった。この犬は執拗に追ってこなかったので助かった。
 2度目は、能登半島の最北端に泊まった翌朝、ランニング時突然犬が吠え付いてきた。身をかがめ睨みつける。ちょっと目を離すと襲いかかってくる。全身原始人になったように必死に睨みつける。犬も必死の様相だ。犬をにらみながら周囲を探し棒切れを持った瞬間、犬はそれを察して追うことをやめた。山で熊に出会ったら犬のように行くかな?

 以上、私の趣味の1つであるランニングの世界の一端をご紹介しました。何かお役に立てれば幸いです。

記:大澤 敏夫(2003-05-27)