顧客対応システム“CTI”

 すでにCTI(Computer Telephony Integration)という言葉をご存じの方も有ると思います。CTIは、コンピューターと電話を統合するテクノロジーで有る。この技術は顧客から電話がかかると、着信番号から企業システム側が顧客データベースを検索し、対応した担当者のパソコン画面上に、顧客の情報を瞬時に表示させる。担当者は、その顧客が過去にどの様な問い合わせをしてきたのか、把握しつつ、問い合わせに臨むことができる。これは、きめ細かく顧客対応を実現するためのITとして、お客様相談室やサポートセンターで多く採用している。

 このCTIシステムも我々の身近で体験出来る。先日、宅急便業者に、自宅で荷物を引取り発送して欲しい旨、電話で依頼した。業者は、引取り発送だけ聞くと「山下さんですね。場所はわかっています。すぐお伺いします。」と言われた。話は簡単に済み便利だが、相手からすべて“お見通し”の様で気持ちが悪い!?。これは文字通り、CTIシステムで有ろう。他にも身近では、出前の弁当チェーン店や宅配ピザ屋も同様の簡単な?システムの様だ。

 こうしたCTIシステムの目的は、きめ細かい顧客対応を行なうためで、顧客情報を蓄えておけば、長期間接点がなくても、顧客を忘れない。しかし、大きな問題として、顧客のほうが、過去の自分を“忘れている”と言うことだ。つまり、CTIシステムによって、電話がかかった瞬間に、担当者のパソコンに、顧客の名前のほかに、過去の情報や対応状況、メーカー側のコメント記録などが表示される。例えば、以前にメーカーとの間でトラブルが有って、その内容が新たな担当者に見られることに成る。顧客自身が覚えていないことをシステムが“教えている”。「この顧客はクレームを付け、うるさい!注意せよ!」などと?。
 個人情報の扱いに関して、様々なところで注目を浴びている。世の中に自分の情報が、どこまで知られているのか?。いくらITを導入して効率化しても、相手に不安を与えない“顧客対応”でなくては、顧客へのサービス向上など望めない。また、人間が扱う顧客情報は、どこでどう“情報漏れ”が発生するのか、危うさも有る。

 我々は、現状この様な社会環境の中で日常生活をしている事を認識し、その中に有って、自身の過去から現在迄のデータ・生き方・足跡が自分とは別の場所で蓄積されているのだと。それは、財産と思うべきか!?。これら、便利さをうまく活用するか否かの鍵は、“人・人”で有ろう。

記:山下 岩男(2003-03-21)