カナダ東部の旅
メイプルの紅葉とナイアガラ滝

 カナダはフランス系の国民が大多数を占める国なのに、イギリス連邦の一構成国です。今回のツアーは奇しくもそのイギリス・エリザベス女王が50年ぶりにカナダを訪問する時期に合致し、しかも我々は同じ日・同じ宿に宿泊する運命になりました。

 10月4日(金):成田−シカゴ−モントリオール
 米国への入国検査は厳しいと聞いてはいましたが、成田でのチェックイン時に、スーツケースのX線検査と同時に入念な開梱検査のチェックを受けたのみならず、出国審査時・手荷物検査時・待合室に入る時・ゲート通過時と再々のパスポートチェック、そして私は、抜き取り検査に引っかかり靴を脱がされ靴の検査と、あらためてテロ後遺症に驚かされました。
 アメリカ路線は、エコノミークラスでも、座席に液晶TVを備えていた。シカゴ(OHARE)空港は世界一の過密スケジュールとのことですが、やはり滑走路が混んでいて30分延着でした。
 シカゴで乗り継ぎのローカル便は、トランジットカウンターでは荷物のみ受け入れて乗客は受付せず、一旦ゲートから出て再チェックインとなった。
 シカゴは激しい降雨の為、2時間遅れて出発した。座席には有料の携帯電話が備えてあった。機内の昼食でワインを要求したら4ドルとのことであったから、有料なら要らないと断ったら、スチュワーデスはにっこりウインクして黙っておいて行った。
 モントリオール(DORVAL)空港より、INTER-CONTINENTAL HOTELへバスで−このバスには今日から5日間付き合うこととなる。夕食は、ホテルのレストランで、温かいスープとホタテがはいった温野菜サラダをとったが、機内食で疲れた胃にとても優しいフランス料理の絶品でした。セボン!!

 10月5日(土):モントリオール−ケベック
 心配された雨はあがり晴天であったが、ハリケーン・リリーの影響で強風が吹き荒れていた。モントリオールは「北米のパリ」と言われるほど、中世のフランスの色が濃く残る都市で、人口300万人である。
 第一歩は旧市街へ。ノートルダム聖堂は、1829年に建てられた北米最大の聖堂で、コバルトブルーに ライトアップされた祭壇は見事である。現在は、年中定期コンサートが行われており、パイプオルガン・コンサートホール共に世界最大級とのことである。奥には、金色の礼拝堂もある。聖堂とプラスダルム広場に挟まれた道路には観光用の馬車がスタンバイしていた。広場では、マロニエの実(日本の栃の実)が落ちていたので記念に拾った。
 ジャックカルチェ広場は、港へ延びる緩やかなスロープの石畳に面している。ここで孫への土産・アメフトボールのミニボールを見つけたので買った。
 次に、山の手の聖ジオセス礼拝堂、モンロワイヤル公園へ。聖ジオセスは世界一規模の巡礼地だそうで、アンドレ修道士が信仰の力で多くの病人を治癒した奇跡を起こしたとされ、そのお礼の松葉杖が沢山奉納されている。モンロワイヤル公園にはダウンタウンを一望する展望台があり、ジョギングする人達が行き交い、ひとなつっこいリスがチョロチョロと、ちっとも逃げようともせず遊んでいました。何とも愛らしい!!
 地下街に繋がるセントラル駅から、VIA鉄道の特急・一等車でケベックシティへ。車内での昼食は、飛行機と同様に、ワゴン車でおしぼり・ドリンク付きの料理を楽しんだ。今年は数10年ぶりの温かさとかで、車窓から見る紅葉は、まだ8分位でしたが見事でした。ケベックシティの住民の95%がフランス系のフランス語圏であり、条例により往来の看板に英語を使うと罰せられるとのこと。
 ケベックシティでのホテルは1892年に創建されたTHE FAIRMONT CHATEAU FRONTNACです。セントローレンス川を眼下に見下ろす高台に位置し、フランス古城を模した姿はまことに優雅です。我々の部屋からは、とがった青銅製の屋根が真正面に眺められ、中世のおとぎの国にいる雰囲気でした。

 夕食後、ホテルのパソコンを借りて、web-mail を試した。Yahoo Japan のHPに入ると日本文で読めるが、日本語ソフトが無いので、文字入力は全て英文又はローマ字となる。まーこれは良い。メールボタンをクリックし、web-mail の頁に辿り着けたが、キーの配置が日本と違い、@の入力方法が分からず四苦八苦。担当者に教えてもらい、やっと息子への送信が出来た次第です。

 10月6日(日):終日ケベック
 早朝、ホテルの近くを散策した。バスで,郊外のサンタンス・ド・ボンブレ大聖堂へ。北米カソリックの三大巡礼地の一つでマリアのご母堂・聖アンヌを祭る。1Fと地下の二つの礼拝堂でミサの最中だった。中央屋根上のキリスト像は木製だが、2度の火災に遭遇しながらも焼失を免れた幸運な像だとのこと。聖堂のすぐ側を貨物線路が通っている。
 帰路、モンモランシー滝へ。落差83mの大滝には虹が架かっていて、とてもきれいでした。

 旧市街に戻り、ノートルダム大聖堂、アッパータウンの州議事堂・戦場公園・展望台へ、そしてケベックシティーの始点とされるロワータウンのロワイアル広場へ。
 午後、ホテル前で解散・フリータイムとなる。なかなか楽しいものが見つからなかったがshoppingで時を過ごし、夕食は(ボンソワール!)予約した近くのレストランGAMBRINGSでアコーディオンの弾き語りシャンソンを聞きながら、オマールえび料理に舌鼓を打った。演奏者がテーブルに来たので、ラビアンローズをリクエストした。
 夜道にライトアップされたフロントナックは幻想的で素晴らしかった。



 10月7日(月):ケベック−ローレンシャン高原
 バスでメイプル街道の紅葉を楽しみながら40号線を西へ。途中、ケベック州三大巡礼地の一つノートルダム・ド・キャップ聖堂を見学した。二度の奇跡−1つは教会建築資材の石を運ぶ時期に、気温が高かったにもかかわらずセントロレンス川が凍結し運び終わったら直ぐに融けてしまった−2つ目は3人の司祭と巡礼者が奉納されたマリア像の閉じた眼が開くのを見た−が起きたことで巡礼地となったそうである。
 モントリオールを北上し、ローレンシャン高原へ向かう。シュガーシャックでメイプルシロップ作りの工程を見学した後、昼食を取る。ウエスタンミュージックのバイオリン生演奏を聞きながら、料理は典型的なケベック地方の素朴な春料理、即ち、ビーンスープ、じゃがいもと豚ハム、そして、キリストの耳−豚の塩漬けラードを炒めて塩と脂を抜いたもので姿が耳によく似ている−でした。

 メイプルシロップは、メイプルの樹の幹に穴をあけ樹液を採取し、これを何段階にも煮詰めて濃縮したものでミネラル等の栄養分に富み、純度100%の精製されない甘味料・調味料として重用されている。ミネラルは、蜂蜜の70倍だそうです。
 ローレンシャン高原は、北米有数のリゾート地である。宿泊地モン・トランブランの紅葉は期待通りの美しさで、町の真中を上下に走るロープウエイから眺めるカラフルな建物と調和し、絵本の中に迷い込んだ主人公になった気分です。THE FAIRMONT MONT TREMBLANTのロビーは、既に薪の暖炉がパチパチと温かく赤く燃えていた。
 昼食後の一時、ホテルチェックイン後の一時、さとう楓の赤い落ち葉を拾って押し葉にし持って帰りました。

 10月8日(火):ローレンシャン高原−オタワ−トロント−ナイアガラフォールズ
 早朝の外の空気で吐く息が白く、ピーンと肌がはりつけるような心地良さでした。
 バスでカナダの首都オタワへ。ケベック州とオンタリオ州の境をオタワ川が分けて流れている。オタワの対岸ハルにあるカナダ文明博物館内にあるトーテンポールを見学、館外の展望台からオタワを眺めると、丘の上に国会議事堂が浮かんで見える。橋を渡るとオタワである。国会議事堂の正面には、カナダを訪問中の英・エリザベス女王を迎えるレセプション用の仮説舞台を設えていた。向かって左側の高台にビクトリア女王の像が立っていた。

 昼食はバイワードマーケットの中のレストランで。食後、マーケットでshopping −オープンマーケットでは野菜・肉魚等各種食料品で賑わっている。メイプルシロップ入りの紅茶とチョコレート、美味しそうなマスタードを買いました。可愛いオマールえびのマスコットを見つけました。.
 オタワから飛行機でカナダ最大の都市・人口250万人のトロントへ。窓から見下ろす下界は無数の湖沼が陽光に反射してピカピカ光輝いて見えた。.
 トロントからバスでナイアガラフォールズへ。ホテルはアメリカ滝の正面にあるTHE BROCK PLAZA。ナイアガラ滝の夜景が見えるホテルのレストランで夕食を取る。ナイアガラの滝が七色にライトアップされ幽玄の世界にしばし目を奪われていました。

 10月9日(水):ナイアガラフォールズ−トロント
 早朝、税関で50セント払い、米・加国境のレインボー橋の中間点まで散歩する。散策後、隣のシェラトンホテルでインターネット・web-mail を利用した。
 ナイアガラ滝は、エリー湖からオンタリオ湖に注ぐナイアガラ川の途中にあり、中州・ゴート島により左右に分かれ、カナダ側から見て左側をアメリカ滝、右側をカナダ滝と称する。アメリカ滝は幅320m・高さ56mで滝下に大きなロックがごろごろ転がっている。カナダ滝ははば675m・高さ54mで馬蹄形をし滝壷が深く、水しぶきがミストとなって飛散し神秘さを漂わせる。
 ホテルから歩いて「霧の乙女号」(maid of mist) 乗り場へ。渡された青いレインコートを被り乗り込む。船はアメリカ滝からカナダ滝へ進み、滝の正面で大きく揺れながら水しぶきのシャワーを浴びる。目の前に聳え立つ滝を見上げ、その迫力に圧倒されながら暫く感激に浸ることが出来た。まるで映画の中のワンシーンにいるような錯覚に捕らわれた。

 バスでカナダ滝の正面にある展望台・テーブルロックハウスに行き、あらためてこの壮大な滝を眺める。この後、ナイアガラ川がくの字形に曲がる変換点で起きる渦巻き・ワールプール、世界最大・直径12mの花時計を見学し、滝の造形過程で削られた垂直に切り立つ断崖を見ながら、ナイアガラ・オン・ザ・レイクへ。
 ナイアガラ・オン・ザ・レイクは小さな町だが、開拓当時のレトロな面影を残す美しい可愛い町である。オンタリオ湖に面したワインルートの東端にあり、アイスワインで有名。メイプルシロップ入りのソフトクリームを食べながらオンタリオ湖岸まで散策、あまりの広さに向こう岸は見えず海同然−ちなみに琵琶湖の33倍の広さ−でした。ソフトクリームは、くるみ入りでVERY GOOD!! 最後の町で、やっと孫(慧くん)のスモールサイズの洋服を見つけバンザイ!! アイスワインとアイスワイン入りのチョコレートも買った。
 夕刻、トロントに着いた。偶然にもカナダを訪問中のエリザベス女王が本日宿泊するホテル・THE FAIRMONT ROYAL YORK に同宿することとなった。女王がカナダを訪問するのは、50年振りであるとのことだが、女王が民間のホテルを利用することに驚いたがそれ以上に、警備が以外に厳しくなく、民間人がホテル内を自由に歩けることが本当に信じられないことだった。残念だったのは、夕食は外のレストランだったのと、明朝早く出発したためホテル内にゆっくりと滞在できなかったことである。
*日本に戻ってから調べてみたら、このホテルは王室3代に渡るご用達ホテルだと判明した。

 10月10日(木):トロント−シカゴ−
 10月11日(金):−成田

 添乗員から届いた袋入りの朝食は、グレープジュース、一口サイズに切って容器に入った果物、そしてワッフル状の菓子パンだった。ジュースと果物を食べてロビーへ集合。名残を惜しみながらシカゴ空港へ。
 X線による身体検査は非常に敏感で、ジャンパーのファスナーや紐の金具にピーピー反応する。家内は腰の人工股関節に反応し疑われる為にカバンの中身を隅から隅まで調べられ−先の尖ったボールペンは没収、お守り袋の中身を破ってチェックするとゆう具合でした。
 シカゴ空港は相変わらずの混み様で、テイクオフのスタンバイ状態から一時間も待たされやっと離陸した。機内食の稲荷寿司に感激、13時間の長旅を3本のビデオ映画で過ごした。
 成田空港では、手荷物受け取りが混んでいてターンテーブル2便待ちの状態だった。
 東京は4‐5日振りの晴天だったとのこと、リムジンバスで夕焼けを眺めながらの帰宅でした。

記:片山 正晴(2002-10-23)