黒部五郎のカール


 黒部五郎岳のカール(氷河地形:”圏谷”ともいう)は”日本のカール地形の中で一番美しい”と言われていて、写真撮影への期待が大きかった。実際に、カールの底に降り立つと三方を岩尾根で囲まれ、大きな雪渓が8月下旬というのにまだ残り、巨大な岩がゴロゴロし、他では見られない絶景である。いろいろな角度から写真を撮ったが、国立公園内は高山植物保護のため登山道から外れて入り込むことが出来ない制約があり、当初の目論見に反して上の写真がベストショットとなった。写真の中の主役は大きな岩である。この巨岩は氷河が運んできたもので”漂移岩”という。背景は三保蓮華岳である。
   
 右の写真は三保蓮華岳の”影”を前景にし、黒部五郎岳のカールを撮った。山頂からカールの底に降りるのに40分、カールの底からカールの端まで降るのに1時間かかるから、結構大きなカールである。

 右の写真は、雲ノ平から撮った。深田久弥が著書「日本百名山」の中で次のように述べている。「黒部五郎は大好きな山である。これほど独自の個性を持った山も稀である。雲ノ平から見た姿が中でも立派で、・・・・・・」。確かに写真画像で見ても、個性的で立派な山である。好天の日を狙って一度は訪ねてみたい、お勧めの山である。

<記:大澤 敏夫---2002-09-14>