高齢でも適度な運動、認知症予防に…東大准教授

 高齢でも適度な運動をすれば、脳が刺激されて、新たにできる神経細胞の数が増えることが、東京大学の久恒辰博・准教授らのマウスを使った研究で明らかになった。

 認知症予防につながる新たな成果と期待される。米国の脳科学誌に19日発表する。

 研究チームは、生後2年以上の高齢のマウスを、回し車のあるかごで3日間飼育。回し車のないかごで飼育したマウスと比較した。

 運動したマウスでは、脳の海馬で作られる神経細胞の数が、1匹平均298個から720個に増えた。神経伝達物質アセチルコリンの分泌が増え、海馬が刺激されたためで、アセチルコリンを抑えると、運動しても神経細胞は178個しか増えなかった。

 久恒准教授は「動物実験では、高齢になると、神経のもとになる細胞はあまり減らないのに、細胞分裂は少なくなる。認知症を防ぐには、分裂を活発にするのが重要で、運動は効果的」と話している。

読売新聞(2010-01-19)