デジタル放送番組、コピー9回までOK…総務省が要請へ

 デジタル放送のテレビ番組をDVDレコーダーに1回しか録画できないよう、特殊な信号を使って制限している「コピーワンス」について、総務省は6日、DVDなどに9回までのダビングを認めるよう、放送局などに要請する方針を明らかにした。

 来年にも大幅に緩和され、家電メーカーは対応する機種を販売する見通しだ。録画した番組を編集したり、同じ番組を複数のDVDなどにダビングできるようになり、視聴者の利便性が高まるとみられる。

 コピーワンスは、地上デジタル放送やBS(放送衛星)デジタル放送の電波に特殊な処理をして、番組録画を1回に制限する仕組みだ。デジタル放送はダビングを繰り返しても画質が劣化しない特性があり、番組を複製した違法DVDを販売するなどの著作権侵害を防ぐため、放送業界と家電業界が2004年、自主ルールとして始めた。

 総務省は情報通信審議会(総務相の諮問機関)の専門検討委員会が12日に示す予定のコピーワンス緩和を求める答申案を踏まえ、放送業界などに大幅な緩和を要請する。難色を示していた放送局や著作権団体も歩み寄る見通しという。

 要請でダビングの回数を9回までとするのは、家族3人の平均的な世帯で各自がDVD、携帯電話、携帯型音楽プレーヤーなど3種類の機器にダビングできるようになり、「個人で十分に楽しめる範囲」と判断したためだ。

 10回目にコピーした際、DVDレコーダーのハードディスク(HD)に録画した番組は自動的に消去される。ダビング先のDVDから他のDVDなどに再びダビングする「孫コピー」やインターネットへの配信は、従来と同様に制限される。

 現在のコピーワンスの仕組みは、DVDレコーダーのHDに録画した番組を、1回に限って「移し替え」ができる。ただ、同時にHD内のデータは消され、移し替えた先のDVDから他のDVDなどに再コピーもできない。すでに販売されているDVDレコーダーは、機能面でコピーワンスの制限緩和に対応していないため、従来と同じく1回の移し替えしかできない。

 デジタル放送のダビング制限について、海外では、09年のアナログ放送終了を控えた米国でコピー制御が計画されたが、実施されていない。フランスや韓国でもダビングの制限はなく、コピーワンスは日本独特の慣行とされていた。

《 追記 》
 12日の情報通信審議会(総務相の諮問機関)の検討委では、緩和後に、海賊版などの不正コピーが増えた場合には、新たなルール作りに再び着手することも確認した。有料デジタル放送については、コピーワンスを続け、著作権に配慮することにした。(読売新聞 朝刊:7月13日)

読売新聞(2007-07-07)