「施錠したから安心」は過去のもの

■凶悪な傾向にある外国人の侵入犯罪

 「ピッキング」「サムターン回し」「カム送り」……。最近よく見聞きするようになった侵入犯罪の手口である。

 マションの住居への侵入手段は、「ガラス破り」の24.9%に次いで「サムターン回し」が18.5%、「ピッキング」が15.1%(いずれも警視庁調べ)と、これらの新しい手口が上位につけている。特にここ数年は、外国、特に中国の窃盗団が日本に入り込んで、それらの手口で犯罪を冒していることがマスコミでよく取り上げられてきた。

 石原慎太郎東京都知事も、かつて選挙の応援演説でそのことを指弾したことは記憶に新しい。外国人は、窃盗レベルの犯罪では4.2%を占めるに過ぎないが、強盗だと14.8%に激増するという凶悪な傾向があることが、外国人犯罪を目立たせている大きな要因だろう。その背景について、日本ロックセキュリティ協同組合の副理事長である鈴木祥夫氏は次のように指摘する。

 「徴兵制度のある外国には、ナイフなどの扱いに慣れている人が多いようです。また、相手は“異民族”なので、住人と顔を合わせると逃げるために危害を加えることも厭わないのではないでしょうか。犯罪をしたらすぐ本国に逃げ帰るので、なかなか検挙できないことも温床になっていると思います。また、外国人の犯人のアジトでは『ピッキングの技を習得したから早く日本に呼んでほしい』と書かれた手紙も発見されています。外国人による犯罪はまだまだ増える可能性もありますね」(鈴木氏)。

■まだ7割も残っている!“狙われた”シリンダー錠

 もう一つ、日本の住宅がピッキングなどで狙われるのには大きな要因がある。汎用品の錠の普及だ。

 鈴木氏によると、「ある大手メーカーのディスクシリンダー錠が、ひと頃70%のシェアを占めていました。公団住宅に採用されるなど、決して悪い製品ではないのですが、これがピッキングしやすいものとして軒並み狙われたのです」と言う。

 同製品は20年間ほどで、ほぼ全国に普及した。ピッキング被害が数多く報告されているにもかかわらず、ピッキングされにくい新しいタイプのものにはまだ3割程度しか取り替えられていないのが現状だ。これでは、犯罪者にとって日本はまだまだ「おいしい市場」と言われても仕方がない。日本の住宅が狙われる要因は、こうした日本人の防犯意識の希薄さにあるといえるかもしれない。

 防犯の厳重化の勧めに対し、よく返ってくるのは「うちには取られるようなものは置いていないから大丈夫」といった発言。しかし、犯人にしてみれば、鍋一つであろうが盗めばそれを売って金に換えることができるのである。さらに、保険証やパスポートなどでも見つけようものならば、様々なことに悪用できるのだ。

日経BP (2005-07)