花粉防止は「使い捨て」「安い」マスクで十分

 花粉症対策グッズの“王道”といえば、「マスク」。マスクは、鼻や喉への花粉の侵入を防ぐために手軽で効果的なグッズであり、日本アレルギー学会の鼻アレルギー診療ガイドラインでも、マスクの使用を勧めているくらいだ。

 しかし、実際に使うとなると、どんなマスクを選べばよいのか、分からない人も多いのではないのだろうか。

 現在、花粉症対策グッズとして市販されているマスクは、約100種類以上にも上るという。素材や形状に工夫をこらした製品が続々と発売されている中、漠然と、値段が高いマスクのほうが効果が高いと思っている人もいるかもしれない。

 しかし実は、マスクの値段と、花粉の除去率との間には、あまり関係がないことが明らかになっている(図)。これは、日本赤十字社和歌山医療センター耳鼻咽喉科部長の榎本雅夫氏らの実験によるもの。榎本氏は、「衛生面も考え合わせると、安いマスクを使い捨てる方法が一番よい」としている。

 現在、マスクはその形状から「平型」と「立体型」の2タイプに、素材から「不織布」と「ガーゼ」の2タイプに大別される。ガーゼの方が不織布よりも肌触りはよいが、不織布は繊維が不規則に並んだ構造をしているため、編み目構造のガーゼよりも花粉が付着しやすいのが特長だ。もっとも現在は、多層構造のガーゼマスクが増えており、ガーゼの方が花粉を除去しにくいということはないという。

 なお、図における「吸気抵抗」とは、呼吸のしにくさを示している。マスクの花粉除去率がいくら高くても、吸気抵抗も高いと、息苦しくてマスクをずらしたり外してしまうことになるので、せっかくの効果も意味がなくなってしまう。

 一方、奈良県立医大化学教室助手の井手武氏らの研究によれば、同じ種類のマスクでも、人によって花粉除去率に大きな差が見られることが分かっている。この理由は、マスクのかけ方に問題があるためと考えられる。

 そこで、マスクと顔とのすき間を防ぎ、花粉の除去率を高めるために、薄い当てガーゼを活用するのもポイントだ。井手氏らの研究では、当てガーゼは、花粉の除去率を10〜30%も高める効果があることが証明されている。

 マスクをかける際にも、マスクと鼻や頬との間にできるすき間を防ぐことは重要だ。さりげなく耳に引っかけている人が多いかもしれないが、すき間から花粉が入ってしまっては、マスクの効果も半減。すき間をできるだけ小さくするよう、自分の顔の形にフィットしたマスクを選ぼう。(小又 理恵子=健康サイト編集)

nikkeibp.jp健康(2005-01-12)