ADSL導入体験記

 昨年8月「お役立ち情報」に掲載された近藤さんの「ADSL導入リポート」を読むと、2年前のADSL黎明期に導入されたご苦労が伝わってくる。
 ここ2年間はBIGLOBEのISDN:月10時間接続で契約し、月2350円を支払っている。ADSL:12Mタイプを導入すると月4700円の支払いとなり、今より月2350円ほど出費が増える。費用効果の点からADSLの導入を見合わせていた。
 最近インターネットの利便性が急拡大してきた。例えば、銀行の残高確認や振込み。航空機・フェリー、レンタカーなどの予約や支払い。JR・私鉄電車・地下鉄・航空機を組み合せた時間と料金のナビゲーション。高速道路の料金と距離と時間のナビゲーション。地図による住宅位置など詳細場所のナビゲーション。野球・サッカーなどの試合経過速報。映画やテレビ番組の詳細情報。新車など商品のカタログ並みの詳細情報。市町村のホームページに掲載されている観光案内。山小屋や登山情報などなど・・・。インターネットの接続状態で得られる情報や在宅のまま処理できる事が増えてきた。
(追記:ADSLを導入した今振り返ってみると、これらの情報から得られるメリットは数値で表せないほど大きい。)
 メールで送られてくる画像はメガバイトを越える容量のものが多い。受信速度は毎秒数キロバイトであるから、じっと我慢を強いられる。
 決定打は山下さんと永見さんから情報があったIP電話だ。日本全国一律3分8円は安い。4月1日フレッツADSL 12Mコースの申し込みを行った。


 開通前後の課題
 3年前、ISDNに切り換えたとき、パソコンでのモデム設定に手間取り、約1週間電話が使えなかった。当時は携帯電話を持っていなかったし、公衆電話も住宅街では少なく、にがい経験であった。今回は、この失敗を二度と繰り返さないようにしようと考えていた。

 "LANポート"取付
 モデムはNTT製を使用する。IP電話機能のついたモデムの生産が追いつかなく、工事が5月に入るかもしれないと連絡があったが、最終的には4月25日に決定した。NTT側の工事が終了したら2〜3時間でトラブルなく開通までもって行こうと考えた。工事日前日の午後、モデムなどの機器が宅配便で届く。説明書を読むと、パソコン側で"LANポート"を用意しないといけないことがわかる。夕方、あわただしく狭山のパソコンショップへ行き、"LANアダプタ"を購入する。CD版のサポートソフトが付いて800円と安いのに驚く、中国製だった。パソコンへの取り付け設定を23時頃完了する。
 
 接続設定
 翌日、10時半ごろから15分くらいでNTT側の工事が終る。あとはこちらのパソコン側の接続設定だ。説明書を何回も読み返して操作するがどうしてもインターネットに接続しない。NTTに電話し状況を説明、電話でアドバイスを聞きながらパソコン設定のチェックを行う。「まだ接続出来ないのはプロバイダー側の問題です」というので、BIGLOBEへ電話する。 パソコン設定の"接続先ユーザー名"というところに"ユーザーID"を入力する必要があることがわかる。問題が解決しない場合にはNTTやプロバイダーの窓口に電話し、電話でQ&Aの会話をしながらパソコンを操作して解決することが一番近道だ。 

 ADSL開通後の課題
 電話器の設定
 やっと、インターネットへの接続が完了する。IP電話をかけるとちょっと変だ。ダイヤルするとプップップップッ・・・と音がして、30秒位たって、NTTに接続しますという声がして相手に繋がる。この30秒間に時々ピー・・・という高音の雑音が入る。「この電話を使うと気が変になりそう」とうちの奥さんが悲鳴をあげる。IP電話は開発途上であり、懸案事項がまだ多く残っているのだろうと考えた。しかし、何か変だ。27日NTTの窓口に電話で状況を説明する。「電話器設定のACRを"使用しない"にして下さい」という。ACRは"日本テレコム"や"NTT"など自動的におトクな電話会社に接続する機能である。今までマイラインは"日本テレコム"に入っていた。今回、ADSL化を期にNTTに変更していた。おかしいなと思ったら相談窓口に電話をして確認することだ。電話器のACRを"使用しない"に設定してこの”変だ”は解決した。

  "驚速ADSL2"ソフト
 ADSLが開通し接続時間を気にしないでインターネットからの情報収集ができるようになった。メールで送られてくる数メガバイトの画像もスムースに受信できるようになった。今、特に不満はない。
 しかし、通信速度の数値が気になる。通信速度がNTT側の表示で"下り:0.93Mbps""上り:0.70Mbps"となっている。実際の測定平均値はこの値の20%ダウン位である。NTT収容局からの線路距離が5.4km。この距離から判断すると通信速度はこんなものらしい。
(追記:12Mbpsのサービスが開始され、NTTの収容局までの距離が7kmの範囲であればADSLが利用可能になった。但し5km以上はなれている場合は、数百Kbps〜1Mbps程度の通信速度になる。)
しかし、何とか速くする手だてはないか検討した。
NTT収容局の新設の計画を調べてみると、高麗川駅付近や毛呂地区に予定されている。しかし依然としてわが家との距離は5km以上あるので期待できない。
 "BIGLOBE SOFTPLAZA News"の5月2日版に優秀ソフト受賞一覧が掲載された。スピード賞が"驚速ADSL2"となっている。早速、表示されていたアドレスからソフトの内容をみる。ソフトを使用して250%ほどスピードアップした事例が載っている。こんなうまい話は"まゆつば"ではないかと思いながら3900円と手ごろな値段であるので、購入手続きをしダウンロードを行う。しかし、いくらソフトをトライしてもスピードが上がらない。ソフトには通信速度を上げるために数十のチェック項目リストがある。その全点をチェックする。その中で特に注目したのが、「スプリッタとADSLモデム間の配線の長さは1m以下」という項目である。自宅の電話は一階にあり、パソコンは二階にある。一階と二階をケーブルで結ぶと20mになる(無線LANは高価なため使用しない、ケーブルで接続している)。この1mという要件が現在20mになっている。これが速度を遅くしている最大要因だと考えた。早速、モデムを一階に移動しスプリッタ(電話線差込口の側に取付る電話線分配器)との距離を0.5mとした。このため新たに20mのLANケーブルなどを3000円で購入した。通信速度を測定すると対策前より若干ではあるが遅くなっている。ショック!。計6900円を授業料として支払っただけで何も改善されていない。
(追記:このソフトでは通信速度履歴が見られるようになっている。実際は瞬間最大速度の履歴を表示したものである。この表示を見ると7〜8Mbps出ている。実用上必要なのは平均速度である。他社の速度計で平均速度を測ると0.7Mbps前後であるから、ソフトを使用し瞬間最大速度の履歴を見て効果があったと勘違いされる方もおられるであろう。)

これ以上打つ手は考えられず通信速度アップは諦めざるをえない。
もしパソコンでビデオや映画を見たくなったら光ファイバーの導入しかない。
(ビデオや映画はパソコンではなく、デジタルテレビ画像で見たい。)
現状の速度で特に不便を感じることや不満はない。これで満足だ。

《追記》
6月25日、住んでいる町内の電話線の更新が行われた。
この結果、下り回線速度 2.336Mbpsと約3倍スピードアップされた。

記:大澤 敏夫(2003-05-20)