98才。ひとり暮らし。現役スキーヤー
三浦敬三さんの生活法

 以前から関心を持っていた三浦敬三さんへの取材記事が雑誌「いきいき8月号」に掲載された。本屋へ行って購入しようとするが、どこの本屋にも置いていない。調べてみると、書店では売っていなくて、通信販売のみで扱っていることがわかる。鶴ケ島市立図書館に置いてあったのでメモをとりながら読んできた。

 "50代からの課題:落ちる体力をいかに保つか?"がこの記事のタイトルである。結論を先に言ってしまうと、"もはや絶対欠かせない、トレーニングと控えめな食事"であり、"三浦敬三さんのトレーニングと食事法をいますぐ真似すべし!"である。

 この記事に紹介された三浦敬三さんの興味ある生活法を、ご本人の言葉などを引用しながら箇条書きでまとめてみた。

☆「いつまでもスキーを続けたい、この目標があるからトレーニングを
  続けらるし、食事に気を配るんです。いわば、私の人生はスキーに
  とりつかれたようなものです。トレーニングを続けるには多少の
  克己心が必要でしょうが、せいぜいそれくらいのものです。」
☆「朝5時ごろ起床後、すぐに布団の上に正座して「首曲げ運動」。
  それが終われば「口開け運動」「呼吸法」と続き、最後のウォーキンク
  を終えてから、朝食・・・。」
☆「トレーニングを行う上で大事なことは、徐々に運動を強くしていく
  ことです。あせって急激な運動を行っても長続きしないうえ、
  思わぬけがをすることがあります。また、トレーニングがすんでも、
  気分が爽快でなくてはならないと考えています。"今日はつかれるな"
  と思ったら、途中でやめるくらいの気持で、ゆっくりやっていけば、
  いつのまにか体力が向上するものです。本当の体力は、最低でも
  2ケ月半トレーニングを積んで、初めてわかります。人間のからだは
  多くの人が考えるほど弱くはありませんし、工夫したトレーニングや
  食事で衰えはかなり防げます。」
☆「一人暮らしをしているのは、それがスキーを中心とした私の生活に
  合っているからです。息子(三浦雄一郎氏)は同居するようにさかんに
  誘いますが、いまはまだ考えていません。同居するとやることが
  なくなってボケてしまうじゃないかと思うんです。」
☆「家事は全部自分がやっています。買物などは家から歩いてすぐの
  ところにスーパーがあって便利です。ただ、掃除だけは苦手で、
  掃き掃除くらいしかしないので、近くに住む娘が時々来てすっかり
  きれいにしてくれます。」
☆ 三浦さんの食事の基本は、栄養に優れた玄米食にあります。
  圧力鍋を利用して柔らかく玄米を炊き上げること。タイマーをセット
  すれば外出も出来る電気式の圧力鍋を利用しています。
  よくつくるおかずは、魚のアラを煮たものなど、圧力鍋で煮ると、
  骨まで軟らかくなって、カルシュウムの補給に効果的だそうです。
  あわせて、カルシュウムの吸収を助けるビタミンDを多く含んだ、
  きくらげなどの食品を一緒に食べるのが三浦さんならではの工夫。
  お茶もミキサーで粉末にしたものにお湯を注いで飲み、体にいい成分
  をすべて摂取できるようにしています。朝晩欠かさず、特製ドリンク
  を飲む。黒ゴマ・きな粉・てんさい糖・酢タマゴ・ヨーグルト・牛乳を
  混ぜたもの。決して量が多いわけではなく小食。食事は量より質。
☆ 90歳を超えて骨折したとき、病院に行かずに済ませた。
  その背景には、長期の入院生活で体力が低下したら、二度と
  スキーが出来なくなってしまうかもしれないという懸念と、刺激のない
  入院生活で痴呆症状を発症し、5年におよぶ介護の末に見送った
  奥さんの姿がある。
☆ 毎年11月に訪れるカナダでのスキーを口開けに、5月まで日本や
  世界の山々を回る三浦さん。スキーは中高年にこそ最適な
  スポーツであるというのが三浦さんの持論。息子の雄一郎さんが
  スキースクールを開設する札幌のテイネハイランドでは、
  敬三さんが考え出した「少し滑っては止る」練習を最初に徹底する
  ことで、初心者も安全にスキーを楽しめる。

《追記》*三浦敬三著:「98才、元気の秘密」祥伝社/1238円。
           (トレーニング・食事の詳細情報あり)
    *月間雑誌:「いきいき」ユーリーグ社/1年購読6600円。
            申し込み;00777-8-1919。
    *三浦敬三さん略歴
     1904年生まれ。スキーヤー。山岳写真家。日本スキー界の
     草分けとして、長年技術指導に携わる。
     77才でキリマンジェロ(5895m)の登頂及び噴火口滑降に成功。
     81才でシャモニー(フランス)からツェルマット(スイス)
     までの約100kmにおよぶ氷河や山岳地帯を踏破。

記:大澤 敏夫(2002-07-24)