南アルプス赤石山脈の主峰:赤石岳登山紀行情報

赤石岳 お花畑

 8月6日から11日まで南アルプス南部の3000m峰5座に登ってきた。 ・・・と言っても、縦走のため大したことではない。 「山登りは興味ないよ!」という方が多い。 そういう人でも少しは参考になりそうなところを整理してみた。

1)登山口は椹島(さわらじま)、標高1100m。 8月初めの連日35℃を越える猛暑の時期、椹島はすがすがしかった。 気温と湿度が低く、森林浴の空気がうまい。 椹島へのルートは、東名を清水ICか静岡ICでおりる。 大井川の上流へ2時間走り、畑薙(はたなぎ)第一ダムに 駐車する。 ここで東海フォレストのリムジンバスに乗り換えて1時間。 軽井沢のような商店街や雑踏はない。 静かである。 椹島ロッジは入浴可、寮のイメージがある宿舎。

2)椹島に大倉喜八郎が90歳で赤石岳へ登頂した記念のレリーフがある。 200名の供を引き連れて登ったこと、山頂で感激して作った句などが記されている。 静岡の登山者は「お金があるから、おんぶにだっこで登ったんじゃないの」という。 大倉喜八郎が拓いた道は、大倉尾根道として赤石岳へのメーンルートとなっている。 この道はよじ登るような個所がなく、急登個所がなく、非常に登り易い。 自分の推理として、200名の供の大半は90歳の老人が登れるように道づくりをしながら山頂まで行ったと思われる。 自分の足で登って初めて山頂での感激の句が生まれる。 先日、三浦雄一郎の父である三浦敬三氏が97歳で立山の雪渓を滑っているのをテレビでみた。 あの道なら日頃鍛錬した90歳なら登れる。 南アルプス南部は山が深い。 3000m前後の山が林立している。 赤石岳山頂は登山道の途中からでも見ることが難しい。 富士山とは逆で、姿が見えない大きな山への思い入れが大倉喜八郎にはあったのかな。

3)南アルプス南部の山の特徴として、標高2600mまではシラビソを主とした林が続く。 花がない、展望がきかない、ただ森林浴のみ。 じっと我慢の登りとなる。 2700mを越えると突然お花畑が広がる。 それまで閉ざされていた心がぱっと開けた気分になる。 このお花畑は天下一品、すばらしいものである。

4)帰り、伊豆長岡温泉で山小屋3泊の汗を流す。 宿泊したのは、静雲荘(静岡県市町村職員共済組合の保養所)。 さすが静岡県が所有しているところだ、源泉があり、湯が豊富で肌がすべすべするすばらしい温泉であった。 1泊2食で1万円前後、公共の宿として誰でも泊れる。 パビーラ・箱根荘の予約が取れないときのおすすめ宿である。

記:大澤 敏夫(2000-08)